勤怠管理システムの初期設定は、一見、簡単に見えます。
実施したことがある人は、難しいと言う人が多いです。
その違いについて、お伝えします。
初期設定が簡単に見えるのは、
・社員登録をして
・組織の情報を反映させ
・就業規則を設定すれば
運用が開始できると思えるためです。
難しいという人が多いのは、・運用すると想定した計算の結果が違うという点に集約します。
社員と組織の情報は容易に設定が可能だと思います。
では、就業規則の設定はどうなのか?
シンプルな固定時間制(9:00〜18:00)を例にお伝えします。
始業時刻と終業時刻、休憩時間を設定すればよいだけのように見えますが、以下の内容を反映させなければ想定通りの計算結果になりません。
以下、法律的に問題がある可能性も含まれますが、設定内容を検討するという視点でとらえていただければと思います。
始業打刻時刻の取り扱い
・9:00前の打刻時刻はそのまま始業として扱う
・○○分単位で切り上げ切り捨て処理を行う
・始業時刻が9:00なので、9:00に丸める ・早出残業申請により、申請時刻からカウントする
早出残業申請により、申請時刻と打刻の遅い時間
を始業時刻として扱う ・上記申請と併用し、
・9:00前の労働時間は割増対象の残業として扱う
・9:00前の労働時間は始業時刻を前にずらす
・9:00以降の打刻は遅刻時刻として計上する
・遅刻時間計算は○○分単位で丸める
・遅刻フラグを立て回数をカウントする
・電車遅延の申請があれば、始業時刻から労働時間
を計算する
・その場合、電車遅延の遅刻は別計算する
・電車遅延申請により、遅刻フラグは消す
・電車遅延申請があっても遅刻フラグは残す
・午前半休の申請があった場合、
・遅刻フラグを消す
・始業打刻時刻はそのまま計算する
・始業打刻は無視、午前半休時の出社時刻で計算
・始業打刻から午前半休時の出社時刻までを
労働時間に含める
・打刻がない場合、
・打刻忘れの申請により始業時刻を訂正する
・直行申請により始業時刻をセットする
・事業場がみなしとして勤務表上時刻表示をさせない
などを想定した設定が必要となります。
上記以外にも、時間有休や看護介護休暇を利用した場合の動作を想定した設定が必要になります。
退勤打刻の場合も同様ですが、残業時間の計算において、実働8h超を割増対象とするか、有給休暇のみなし時間を含めて8h超を割増対象とするか、終業時刻後の時間を割増対象とするか、によっても設定が異なります。
休憩控除の方法についても、12:00〜13:00を休憩時刻として取り扱うか、労働時間により休憩控除(6h超→45分、8h超→60分)するかを決めて設定する必要があります。
上記では、休日勤務の内容に触れてはいませんが、振替休日や代休時の割増方法についても意識して設定する必要があります。
勤怠管理システムで労働時間を想定通りに計算させる為には、このような細かい内容をあらかじめ初期設定としてシステムに反映させておく必要があります。
設定が漏れていると、意図した計算にならないため、エラーとなるか、間違った計算結果が出力されます。
9:00〜18:00の固定時間制において記載しましたが、変形労働制によるシフト勤務、フレックスタイム制、時短勤務、裁量労働などの働き方がある場合は、それぞれこのような内容での想定が必要となります。
いかがでしょうか?
一見簡単に思える勤怠管理システムの初期設定は、かなり大変だと思えませんか?
勤怠管理システムの初期設定を行う際は、しっかりと時間を確保して取り組んでもらえればと思います。
また設定が完了したら、過去の勤務表を反映させて、計算結果が合うかどうか、確認してみてください。
想定外のパターンが把握できると思いますよ。