EPISODE

エピソード

dot

05‐ワークフローシステム(1999年~2005年)

「ワークフローEX」は、ソリューション系製品で最初のヒット製品となった。

(01)コンポーネント製品からソリューション製品へ

ナルボは2000年頃まで、ソフトウェア部品でビジネスモデルを構築しようとしていたが、満を期してリリースした「データアクセスコレクション」に手ごたえが無かったことで迷走していた。(この辺りは、「エピソード 03 – ソフトウェア部品」で紹介した)

ExcelやWordのようなMS-Officeに組み込むスタイルの「Word Reports」や「e-スタンプ」などのCOMアドイン製品も開発したが、いまひとつだった。当時は、それぞれの利用価値を届けるマーケティングも営業力もなかった。

その頃、株式会社システムラボの清水さん(代表取締役社長)とよく会食した。清水さんとは1995年頃からコンポーネントの関係でお付き合いが始まった。システムラボは、ナルボ同様、小規模の会社ではあったが、貿易業務システムEX、IX(現在は、国際取引総合システムGX)、図書管理システムLX(現在は専門図書館向けクラウドサービスLX 5.0 SaaS)などを主軸に、コンポーネント製品としてVBManシリーズもリリースしていた。それ以前にもシリアル系ライブラリや国際通信システム パソコンテレックス((株)リコーへOEM供給)などの製品も着実に当てていた。

そこで、このシステムラボを観察、分析してみることにした。まず、清水さんの情報収集能力が天才的に長けていた。そして、技術面では圧倒的な技術力を持つ株式会社テクナレッジの草島さん(代表取締役)がフォローしていた。草島さんはU.S.で当時最強のIT会社を経て独立したこともあり、U.S.の最新情報の取得も早く、この2人のコンビネーションは強力だった。

また、システムラボのソリューション系ビジネスモデルはとても面倒にも見えた。それと同時にナルボは、その面倒なビジネスモデルを暗に避けてきたことに気が付いた。

そして、短絡的に「面倒なビジネスをする必要がある」と勝手に思い込んだ。「面倒なビジネスをしてみよう」と。それほど、目指すビジネスモデルに迷走し、気持ちも枯渇していた。

その後、ナルボはソリューション製品の開発へ乗り出すことになるが、こんな背景がその背景にあるような気がする。

(02)ワークフローEXの起源

1999年頃、大手ゼネコンの某‐NK社から、稟議システムのプロトタイプを作れないか問い合わせがあった。このプロジェクトは張り切って短期間でクリアした覚えがある。そしてこれが、基幹系システムの大型案件へつながっていくことになる。

稟議システムのプロトタイプの成功を受けて、実際の稟議システムの開発に着手することになった。そして、稟議ドキュメントのひとつに勤務表があった。多くの行列を持つ勤務表を見ていて、いっそ「Excelで廻せないのか」と考えた。そこで、さっそく「申請フォームがExcelシートのワークフローシステム」のコンセプトの提案書を作って提案してみた。が、当時シンクライアントが広まる中、クライアントベースのExcelを利用することもあり、あえなく不採用となった。

ただ、この「申請フォームがExcelシートのワークフローシステム」というコンセプトは、捨てがたかった。ということで、ナルボの製品として開発することにした。これが、「ワークフローEX」の起源になる。

当初からExcelがマイクロソフトの製品であること、その好き嫌いもあること、またクライアントで動作するExcelを制御すること、更にシンクライアントへの抵抗など、これは茨の道を歩むことになると思った。しかし、上記の「面倒なビジネスをしてみよう」という方向性のなかで、むしろポジティブに考えることができ、覚悟も決めることができた。

(03)ワークフローEXの開発

実はこれまで、スケジューラや施設予約などのグループウェア製品も開発していた。(「タイムビュー」を利用したものだ)が、コンセプトが希薄でそれらの製品には手ごたえのある確信が持てなかった。

しかし、「申請フォームがExcelシートのワークフローシステム」というコンセプトには「これでダメなら終わりにしてもいい」と思えるほどの確信と覚悟をすることができた。

そして、開発は進み1年が過ぎた。

現在の「ワークフローEX」は、WebページでPDFとExcelとWordをハイブリッドに扱うが、最初のバージョンは、Windowsアプリ(クライアントアプリ)で、その配布と自動更新は、ClickOnce(クリックワンス)の技術を使って対応した。

また、その捺印機能として、ユーザーが任意に捺印できる方式を「e-スタンプ」で、承認に紐づけて自動捺印する方式を「e-ハンコ」で実現した。

(04)ワークフローEXのリリース

通常のワークフローシステムは、そのドキュメントをWebページとして専用のWebページ・エディタを使ってひとつひとつデザイン、作成する必要がある。Excelを下書きにできる製品もWebページを作成することに変わりはない。「ワークフローEX」に専用のWebページ・エディタはなく、あえて言えば世界標準のExcelがそのエディタとなる。

いうまでもなく、ワークフロー業務は、紙に捺印することでDX化の前から存在する。そして、この元となるドキュメントはExcelやWordで作成されていることが少なくない。「ワークフローEX」は改めてそれぞれのWebページを作成することなく、現存するExcelやWordを活用するため、導入と保守において圧倒的なアドバンテージを持っていた。

ちなみに、「ワークフローEX」という名称には「ワークフロー」というシステム名を使っているが、既に何を探すにもWebブラウザによる検索が一般的な状況で、製品名にそのキーワードを含めるメリットは大きいと考えた。また、EXは語呂もよく、Excelだけでなく、Excellent(優れた)、Exciting(わくわく)、Exuberant(元気)、Exquisite(洗練)、Extraordinary(見事)などのポジティブな印象を連想させると考えた。

そして、2005年、「ワークフローEX」はリリースされた。

想定したとおり、「申請フォームがExcelシートのワークフローシステム」というコンセプトは回付文書をExcel、Wordで管理、運用している会社に刺さった。

(05)「静岡県庁」様(2007年)

2005年だったか、2007年4月からの運用をベースに「静岡県庁」様から「静岡情報処理センター」様を介して入札の打診があった。大きなチャンスがやってきた。

そして、見事落札したのは「ワークフローEX」だった。やはり、訴求ポイントは「申請フォームがExcelシートのワークフローシステム」というコンセプトだった。

リリース間もない「ワークフローEX」を選択することは簡単ではなかったはず。その最終判断をしていただいた静岡県庁の方々には感謝しかない。また、その地域性から静岡情報処理センターの方々へは多くの抵抗があったのではないか。そこを貫いていただいた方々にも感謝しかない。特にこの「ワークフローEX」を見出していただいた執行役員の山崎さんには強い思いがある。山崎さんは既に引退しているが、元気でいてほしい。

以下、導入事例から引用する。

●県民本位の生産性の高い行政運営を実現するため、電子県庁化を推進

平成16年、発生源入力、エンドユーザーコンピューティング、よりレベルの高い職員認証、システム連携などを可能にする新しい人事給与システムの開発に着手することが決定した。

●新しい人事給与システムに求められた高度なワークフロー機能を満たしたのは『ワークフローEX』

「Excelを申請書としてワークフローを構築できるという特長を最も高く評価しました。こういう製品は他には見あたりませんでした。職員にとっては日頃から使い慣れたExcelにデータを入力できますし、入力されたデータはバックエンドでXMLデータとして格納でき、後々データを利活用しやすくなります。ワークフローEXにすることで、目標に掲げた発生源入力、エンドユーザーコンピューティングを実現できると考えました」

●申請承認業務の作業効率とコスト削減が実現、各種データの分析業務も活発に

新・人事給与システムは、平成19年4月から利用が始まった。現在は知事部局、教育委員会、警察本部といった県の全組織にわたる約40,000名分の人事給与関連業務がこのシステム上に統合された。現在、知事部局の職員は一人一台配布されているSDO端末から自ら申請承認処理を行い、SDO端末台数の少ない教育委員会、警察本部などにおいても担当事務職員がデータを一括入力したExcelファイルを『ワークフローEX』に載せる。静岡県職員の間でこの製品はすっかり浸透した。

(06)「富士ソフト株式会社」様(2009年)

2009年11月からの運用をベースに2008年、「富士ソフト」様から「東証コンピュータシステム」様を介してワークフローEXの打診があった。「静岡県庁」様に引けを取らない大規模案件だ。

そして、5社7製品の候補から選択されたのは「ワークフローEX」だった。訴求ポイントは、操作性とセキュリティだった。「ワークフローEX」のWindowsアプリケーションがこの時は有利に働いたのかもしれない。

既に実績を積みつつあった「ワークフローEX」だったが、やはり、その最終判断をしていただいた富士ソフトの方々には感謝しかない。また、「ワークフローEX」のコンセプトを評価していただいた東証コンピュータシステムの松倉さん(取締役社長)にも感謝しかない。既に引退し、ときどきFacebookで見かけることもあるが、いつまでも元気でいてほしい。

以下、導入事例から引用する。

●大規模な組織変更をきっかけに全社業務改革を志向

全国展開を行う同社にとってロケーションを意識せずに業務を可能とする電子帳票化とワークフロー化は必要不可欠。同社には承認を必要とする書類が約240種類あり、書類フォームそのものは電子化されていたものの、起案・承認・決裁プロセスはペーパーベースで行われていたのである。

●操作性とセキュリティ機能を評価して「ワークフローEX」を選択

そこで5社7製品が候補に挙がり、最終的に採用されたのが、株式会社ナルボの「ワークフローEX」だった。選定の基準とされたのは、基本機能、セキュリティ、拡張性、入力者・承認者の操作性、価格などだったが、特に”これだけは譲れない”と重視したのは入力者・承認者の操作性だったという。

●導入でつかめたワークフロールートの実態、セキュリティ向上、コスト削減効果も

特徴的なのは、導入時点で承認ルートの見直しをしなかったことだ。それは、運用開始後に履歴分析を行えば自然と解が得られるからという理由によるものだった。「ワークフローEX」の導入が業務改革の足がかりになると判断したのである。実際、同社は2010年1月中旬から履歴分析を実施。それにより、全社平均でワークフロー案件1件に対し17名が関係し、決裁までに2週間かかっていることが判明したという。ペーパーベースのワークフローでは容易につかめなかった実態が、明らかになった瞬間だった。

(07)同じコンセプトの製品

「ワークフローEX」と同じコンセプトの製品がある。

株式会社システムエグゼの「AppRemo」(アップリモ)(旧「羅針盤ワークフロー」)だ。そのコンセプトは、「Excel申請書がそのまま使えるワークフローシステム」になる。

「羅針盤ワークフロー」が2018年に、「AppRemo」が2020年にリリースされている。「ワークフローEX」と同じコンセプトをベースにWebページとPDFを上手に使って、よりクラウド感の強い製品となっている。(なかなかのやり手がいる)が、負けてはいられない。実際の使い勝手は多岐にわたるのだ。

2026年現在、株式会社システムエグゼは社員700名を超える上場会社で、リソース、宣伝力、そして営業力においても強力な競合といえる。当然、同コンセプトのワークフロー製品「ワークフローEX」のシェアは取られている。

ただ、そんな会社が「ワークフローEX」と同じコンセプトに乗ってきたという事実は、その裏付けと考えたい。そして、「申請フォームがExcelシートのワークフローシステム」というそれまでになかったコンセプトを最初に製品化できたことはナルボのプライドに他ならない。(さあ、進もう)

(08)Microsoft Innovation Award 2007

2007年、「ワークフローEX」は、「Microsoft Innovation Award 2007」のコマーシャル部門で優秀賞を受賞した。既存のExcelワークシートやWord文書の稟議書で、管理業務の可視化を実現する独自性が評価された受賞だった。

この「Microsoft Innovation Award」は、マイクロソフトが主催するコンテストで、テクノロジによるイノベーションをテーマに革新的なアイデアやサービスを表彰するもので、2007年が第1回目だった。対象として、スタートアップ、ITベンチャー、研究機関などにフォーカスし、そのIT技術やビジネスアイデアを表彰することで、そのビジネスやパートナーシップを加速させようとするものだ。

振り返れば、「ワークフローEX」の起源となったNK社からの問い合わせは、「e-ハンコ」(2001年)、あるいは「e-スタンプ」(2002年)のコンポーネント製品が「稟議」というキーワードにマッチしたのかもしれない。そして、それらが「ワークフローEX」という製品へ誘導してくれたのかもしれない。

CONTACT US

お問い合わせ

Knowlboの技術で貴社の課題を解決します。

ナルボ製品の資料請求、デモやお見積りのご依頼、ご質問など、
お気軽にお問い合わせください。