2003年10月 PDC 2003 @ LA – 2

Longhorn, YukonおよびWhidbeyの話題で大半を占められていました。参加者の関心の多くはやはりLonghornに向けられていたように感じました。

各セッション内容のご紹介

参加した各セッションについて簡単にご紹介しておきます。

CLI200 “Avalon:” Introducing the Next Generation of Windows Presentation Service

Longhornのプレゼンテーションサービスの概要について説明していました。XAMLというASP.NETのcode behindに似たコンセプトの宣言的プログラミングが目をひきました。気になる互換性ですがWindows Formsとの相互運用は可能であるようです。現状のWindows Formsの資産は活用できそうですが、長い目でみると既存のWinFormをUI部分とロジック部分に分離させておきAvalonの登場に備えることを視野に入れておいてもよさそうです。またvector graphicsを活用しているためか、HW能力が要求されそうです。

ARC340 CLR Under the Covers: .Net Framework Application Security

.NET Frameworkのセキュリティに関する新機能(新ツール)についての話題です。CASでassemblyベースの認証、承認を行っていたのに対し、新たにApplication Identityベースで認証、承認が行えるようになりました。これは開発者だけでなく利用者にとっても朗報なのではないでしょうか。この他Security例外が発生した際にその真の原因を取得できるようになったことや、XML EncryptionやPKI関連のAPIが不足していた問題が解消されるなど、開発者が不満に感じていたことに対する回答が提示されていました。全般的に開発者の意見、疑問、不満に対するフィードバックを行おうという姿勢が感じられ、聴衆からもその都度好意的な拍手がわいていました。

WSV201 “Indigo”: Services and the Future of Distributed Applications

非常に大きなパラダイムシフトになりそうな通信系のフレームワークに関するイントロダクションです。Don Box氏がスピーカーとあってか大勢の聴衆が詰めかけました。前置きにあたる歴史的経緯や現状の問題点、デザインにあたっての方向性をたっぷりと時間をかけて説明していました。Web ServiceやEnterprise Service, .NET Remotingを統合する位置づけのようです。現状のasmxやRemotingの資産をIndigoに「移行」する具体的な方法について、(例え移行しないとしても)現場のエンジニアは考えておく必要性を感じました。

ARC310 Managed/Native Interop Best Practices and Common Pitfalls (That We Learned the Hard Way)

Unmanaged Codeとの相互運用に関する話題です。新機能の紹介というよりむしろ、さまざまな問題に関する細かなTipsの紹介といった趣です。クイズ形式で進行していくため、1つの問題について聴衆からさまざまな 解決方法が提示されていました。このセッションは狭い会場のわりに人気があり満員御礼で入場制限されていました。

ARC382 The Future of Network Applications: Make Your Software Cooler and Your Life Easier Using the Next-Generation of Microsoft Networking Technologies

Indigoのデザイン目標にはEnd-To-Endのコミュニケーションとセキュリティの確保が含まれていますが、その屋台骨を強固に支えるのがSystem.NETになります。そのSystem.NET名前空間がWhidbey, Longhornでどのように強化されるのかについて説明されていました。LonghornではTCPおよびIPのプロトコルスタックが一新され、IPv6, IPv4がともに同一プロトコルスタックで動作するようになるそうです。セッション内容についていけない部分がありましたが、性能向上のための各種機能がプロトコルスタックレベルで提供されるようです。またIPv4/IPv6の共存、移行関連の各種技術や、IPv6へ移行するにあたってのプログラミングレベルの注意点が紹介されていました。WhidbeyではSSLがFCLでサポートされるとのことです。またSocketのConnect,Acceptの各メソッドの実装がIO完了ポートベースとなり性能が上がることや、SocketクラスにTransmitFileメソッドが追加されP-Invokeが不要になるなど、細かな点ですが様々な機能追加が施されています。

CLI322 WinFS:Schemas and Extensibility

Longhornで最もとらえどころがない(と筆者が感じた)WinFSについてのセッションです。WinFSが標準で提供するSchemaの説明とその拡張方法について説明されていたようです。WinFSの全体像のイメージをある程度つかんでいることが必要であったようで、筆者は早々に落ちこぼれてしまいました。WinFSに関しては、あとで時間をかけてじっくり取り組みたいところです。

ARC241 Federating Identity and Authorization Across Organizations and Platforms

組織、ネットワーク/プラットフォーム境界をこえて認証や承認を実現するためのセキュリティ・インフラストラクチャーに関する説明です。System.Security.Authorizationが提供する認証・承認処理やTrust-Bridgeを使用したWeb ServiceのSingle Sign-Inや分散承認処理の実現方法やデモが紹介されていました。

CLI320 WinFS: Using Windows “Longhorn” Storage (“WinFS”) in Your Application (Part 1)

WinFS APIの簡単な使い方を通して、WinFSアプリケーションとWinFSをより具体的に理解するセッションです。

CLI311“Indigo” and “Avalon” Together: The Smart Connected Application

Indigoを使ったAvalonアプリケーションのデモとデザイン上の考慮点について理解するセッションです。通信系機能を非同期に呼び出すことが推奨されていました。通信系からUIスレッドに属するUIクラスのメソッドを呼ぶ際にInvokeが必要であることは、Framework 1.0, 1.1と同様ですが、そのためのAPIが新しく提供されるようです。

【 全体を通して 】

Longhornを中心にセッションに参加しましたが、Connected Applicationがキーワードのように繰り返し使われていました。LonghornはAvalon,WinFSなどを個別に理解するよりも、むしろ全体をまんべんなく眺めたほうが全容を理解できるような印象を受けました。

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